学園ダイヤリー

2015.09.29

海辺の月見会

9月28日、「ふたまどのお月見会」に出かけました。
スーパームーンは雲間から時折、見えるだけでしたが、海辺の月見会は最高でした。

「ふたまど」とは芸南学園がある忠海町の地名です。
もともと漁師さんの町。狭い路地を歩いて岸壁に設けられた会場へ向かいます。

忠海東公民館のボランティアさんたちが、お団子や抹茶を用意して歓迎してくれました。
山際が明るくなり午後7時10分の月の出を待ちます。
「なかなか出てくれんね」「あっ、見えた」
雲間に恥ずかしそうに隠れる月にヤキモキです。

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竹原市在住のデヴァ・ヨーコさんの篠笛演奏が始まりました。
「月の砂漠」「アメイジンググレイス」「赤とんぼ」……おなじみの曲が流れます。
地元の地名を入れた替え歌もあり、サービス満点です。

真っ暗の海の向こうに、島の灯が見えます。ひときわ高い灯は、多々羅大橋。船の灯りがスーッと横切っていきます。
陸地側で動く光の帯は呉線の電車の灯りです。「銀河鉄道」は、こんなのかな、と思いました。

ヨーコさんの笛の音が響き渡ります。体の力が抜けゆったりとした気分です。
月は見られなくても十分に堪能できました。

ヨーコさんは、名古屋で暮らしていましたが、演奏活動で訪れた竹原の風景が気に入り、転居してきたそうです。
私たちが当たり前のように見ている瀬戸の海は、かけがえのない宝なのかもしれません。(園長・藤元康之)
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2015.08.01

地域への貢献とは

中国芸南学園の「夏祭り」、竹原市黒滝ホームの「盆踊り」とも、多くのボランティアに支えられています。
7月29日に開催した夏祭りは、約140人の方々が猛暑の中、お手伝いしてくださいました。
黒滝ホームでは8月4日開催の盆踊りに向け、1日に櫓を立てました。
20人の方々が参加され、作業はスムースに進みました。
この盆踊りは、もともと地域のイベントです。
多数のご来場お待ちしています。8月4日午後7時開演です。
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わたしたちのような社会福祉法人の地域貢献が、いま国の研究会などで議論されています。
社福は、すべての生活困窮者の救済に乗り出してほしい
地域課題の解決に積極的に協力すべきだ
既得権にあぐらをかいているのではないか
こんな声が聞こえてきます。

背景には原点を忘れた一部社福への批判、国の財政が厳しくなるなかでの社福への期待があるようです。
住民のみなさんの日頃の支援に対して
私たちは何をお返しできるのか
いま、職員で議論、研究を進めています。
ご意見、アドバイスをお寄せください。(園長・藤元康之)
2014.09.12

ボランティアの町

中国芸南学園のもより駅はJR呉線の忠海駅です。
地元のNPO法人が運営する多目的ホールが駅舎の中に併設されています。
電車を待つ人たちが、ほどよく空調の効いた室内で本を読んだり、軽食を食べたりしています。
無人の殺風景な駅が増えるなか、優しさを感じさせる空間です。
観光案内や郷土の歴史案内、忠海高校の紹介など地元をPRする掲示が壁面を埋めています。
わが学園の広報誌「みなみかぜ」も置かせてもらっています。

ぎっしり詰まった本箱の本は、待合室で読んでもいいし、持ち帰りもできます。
家庭でいらなくなった本を置いておくこともできます。
私も持ち帰ったり、持って来たりして活用させてもらっています。
グッドアイデアだと思います。

忠海町はボランティア活動が盛んな土地柄です。
学園の夏祭りには140人ものボランティアの方々が駆けつけていただきました。
毎年、ボランティアに支えられて夏祭りが開催できています。
駅舎の活用もボランティアの支えがあるから可能になったのでしょう。

この駅は、夏休み中は観光客でにぎわいました。
ほとんどは駅裏の港から大久野島に渡っていました。
今年は特に外国人旅行者が目立ちました。
中国新聞にも紹介されていました。
ユーチューブに旅行者がアップしたウサギの動画が評判になり、
訪れる外国人が増えているそうです。
外国人たちにも、忠海駅はいい印象を与えているのではないでしょうか。(園長・藤元康之)



 
2014.08.29

豪雨災害に思う

広島市安佐南区などの大災害を見るたびに思い出すのは、15年前の1999年6月29日のことです。
私は中国新聞で朝刊づくりをしていました。
午後5時に1回目の編集会議があり、あすの朝刊にどんなニュースを盛り込むか、発表する役割でした。

会議直前に、「佐伯区で大雨。行方不明者も多数出ているもよう」との第一報が飛び込んできました。
新聞社のある中区では晴れています。
「誤報じゃないのか」と思いつつも、「社会面を全部空けます」と発言した記憶があります。
広島市、呉市などで死者39人を出す大災害になりました。
狭い範囲に集中的に降るゲリラ豪雨の怖さを痛感したのはこのときでした。

ある講演会で
「伊勢湾台風(1959年)以降は日本では災害死者が年間千人を超えることはなく、災害は防ぐことができるという過信が生まれてしまった。しかし、阪神・淡路大震災(1995年)からは大災害が続出している。災害は防げない。被害を少なくする減災を目指して自助努力を怠らないでほしい」
という話を聞きました。
日本は災害多発期になった▽防災ではなく減災しかできない▽自分で生き残る術をまず考えよう。この3点に要約できます。行政機関の救助活動(公助)が本格化するまでは、「自助」と向こう三軒両隣の「共助」で生き延びなくてはならないのです。

他人事ではなく竹原市の中心部に出している中国芸南学園の「デイサービスひろば」も8月16日と22日の2回、大雨による浸水被害に見舞われました。
もともと低地帯で高潮被害が多いとは聞いていましたが、雨による浸水は近所の人も「これまでなかったよ」と言っています。
1階の一部が床上浸水したため、一時休業に追い込まれました。
夏休み中の子どもさんの利用などに迷惑をおかけしたことをこの場を借りてお詫びします。

今回の大災害で犠牲になられた方のご冥福をお祈りするとともに、学園の防災対策もきちんと見直したいと思っています。(園長・藤元康之)